変形性股関節症の発生原因

変形性股関節症の発生原因は、発症のメカニズムにより大きく一次性と二次性に分けられます。そして二次性においても、更にいくつかの原因に分類されています。

 

原因として複数に分類されていますが、その発生と症状の進行はいずれも、関節軟骨への局部的な負担の発生、それによるその部分の軟骨組織の劣化、軟骨の損耗とその広がり、という同じような経緯をとります。

 

 

一次性

 

生来の股関節の形状には特に異常が見られず、加齢や体重の過剰な負荷による経年変化によって徐々に発症するとされています。
発症の原因を明確には特定できない場合もあることから、ほんのわずかな軟骨量の減少が長年にわたって続いてきた結果、やがて痛みを自覚するようになるのではないかと考えられます。

 

 

二次性
二次性の代表的な原因として、以下の3つが挙げられます。

 

臼蓋形成不全
寛骨臼(股関節)の形に異常があることが原因です。寛骨臼が浅いので、骨頭を覆う面積が少なくなり、狭い面積で体重を支える必要があるため、正常な人に比べ軟骨やその周囲の骨への負担が増えることが発症の原因と考えられています。

 

この症状の方に対しては股関節の形状を整えるため、ご本人の腰骨の一部などを利用した自家骨移植による手術が行われることがあります。
人工関節を用いずに、自分の骨を使っての手術であるため、手術後も「自己治癒能力」が働き、軟骨の再生などによる治癒の可能性が温存されるなどの観点から、どうしても手術が必要な場合でも、この自家骨手術のほうを熱心に勧められるお医者さんもおられます。
人体を部分ではなく、全体として長い経年変化も含めて診ようとする、一つの見識だと思います。

 

 

 

外傷後によるもの
交通事故や、スポーツにより、股関節脱臼などを生じた後に、長い期間を経て、変形関節症に移行することがあります。
生来の寛骨臼の形には異常がありませんが、けがなどの後に股関節への負担のかかり方が変わったことにより、長い時間をかけて徐々に症状が進み、ある時点から痛みが発症します。

 

 

 

FAIによるもの
FAIとは Femoro(大腿骨)、Acetabular(寛骨臼)、Impingement(はさみこみ)の頭文字で、股関節に挟み込み(インピンジメント)が起きている症状の診断名です。

 

股関節を支える靱帯など軟部組織が股関節に挟み込まれる症状で、自覚症状としては、前屈姿勢になったときなどに股関節の前の方が当たるような、詰まっているような感覚と、人によっては痛みも伴う場合があります。
前屈姿勢をとらなければ気にならにこともありますが、そのままにしておくと変形性股関節症へと至る場合があることが知られています。

 

 

 

 

以上のように、変形性股関節症の発生原因としてはいくつかの要因が認識されていますが、一次性のように、まだ完全には解明されていない部分も残ります。

 

いずれも結果として、軟骨の厚みが薄くなってくることにより関節の隙間が狭まり、関節の形状が変わってしまう事で関節本体や、それを支える周辺組織への負担が増加します。

 

それにより、関節を支えるじん帯や筋肉に拘縮やコリ、炎症や痛みを発症し、どうしても関節をかばってしまうため動きが小さくなり、それがまた関節の可動範囲を狭める悪循環につながる場合もあります。

 

 

 

発生原因としては上記のように複数に分類されていますが、その最も大きな自覚症状としてはいずれも「痛み」であり、それに伴う様々な「生活上の支障」が大きな症状です。

 

逆に、「痛み」の緩和ができれば「生活上の支障」はかなり改善されることになります。